ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
「……ん〜、すごく喉が痛い。風邪かもしれない」
私の演技は見事なもので、犬飼くんはまんまと私の作った穴に嵌っている。
これは私の勝ちね。
「え、まじか。薬飲まなきゃ」
犬飼くんはあたふたとし始める。
「雨宮さん、薬はどこにあるの?」
「……んー、その棚の引き出しの中にあると思う」
私は布団の中にもぐり込みながら言う。
犬飼くんはテキパキとした仕草で薬を準備して、水と体温計も一緒に持ってきた。
「雨宮さん、これ飲んで」
私は言われた通り素直に薬を飲んだ。
体温計を差し出されて、私はふいっと視線をそらす。
「雨宮さん?」
「……別に、これは必要ない」
「何言ってんの。熱測らないと」
「なんで? 体温なんて別に知らなくていいでしょ」