ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
もしかして犬飼くん、寝てる……?
もしかしなくとも、ソファに横たわった犬飼くんが静かな寝息を立てて眠っていた。
音を立てないようにローテーブルの前に腰を下ろす。
チク、タク、と静かな空間に時計の針の音がやけに大きく響く。
体操座りをしてその場にじっと座ったままでいた私は、こっそりと犬飼くんの寝顔を見つめた。
女子よりも長い綺麗なまつ毛、女子の誰もが羨むような柔らかそうな黒髪。
この世のものとは思えないくらい、この人は本当に綺麗な顔立ちをしている。
犬飼くんを拾わなければ、きっと一生交わることのなかった私たち。
犬飼くんの存在を知らないままでいれば、今日みたいに振り回されることもなかったのかな。
そう思うけれど、それも悪くないなと思っている自分に気づく。
無意識に犬飼くんの髪に手を伸ばすと、その手をパシッと掴まれた。