君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜
紗英子さんもついて行くと思ったら、残って私と向き合ったままでいる。
狭い書庫の中で、途端に私は追い詰められた小動物のような心地になった。
「あなた、ここじゃないならどこの学生なの?」
さっきの甘たるいのとは打って変わって、刺すように冷たい声で質問された。
私は目を伏せつつ小さい声で答えた。
「あの、学生ではないんです……。こちらの清掃をさせてもらっているんですけれども」
「清掃員?」
ありえない、とでも言いたげに紗英子さんは声を大きくした。
どうしてそんな身分の者が、聡一朗さんと親しげに話しているのか? という蔑みが露骨に出ていた。
私は委縮しつつも、かいつまんでこれまでの経緯を話した。
どうして初対面の彼女にこんな尋問に答えるような雰囲気で話さなければならないのかと思ったけれど、弁明でもしない限りこの場から解放してくれなさそうな気がした。
狭い書庫の中で、途端に私は追い詰められた小動物のような心地になった。
「あなた、ここじゃないならどこの学生なの?」
さっきの甘たるいのとは打って変わって、刺すように冷たい声で質問された。
私は目を伏せつつ小さい声で答えた。
「あの、学生ではないんです……。こちらの清掃をさせてもらっているんですけれども」
「清掃員?」
ありえない、とでも言いたげに紗英子さんは声を大きくした。
どうしてそんな身分の者が、聡一朗さんと親しげに話しているのか? という蔑みが露骨に出ていた。
私は委縮しつつも、かいつまんでこれまでの経緯を話した。
どうして初対面の彼女にこんな尋問に答えるような雰囲気で話さなければならないのかと思ったけれど、弁明でもしない限りこの場から解放してくれなさそうな気がした。