先輩を可愛い、かわいいと言っていいのは僕だけです


 我ながら現金な話で、可愛いかわいいと言って貰えなくなると言われたくなる。

 今日も花壇の手入れ前にトイレに寄り、髪型やメイクをチェックしていた。

(リップよし、マスカラもウオータープルーフタイプにしたし大丈夫)

 トレンドをちゃんと意識してるし、最近はあの涼介も見直すくらいイメージチェンジに成功。もちろん涼介に褒められても嬉しくないけれど。

 本宮君の可愛い、かわいいですねは口癖であろうとコミュニケーションの一部だったんだ。
 今日こそは本宮君に可愛いと言わせてみせるぞ、改めて気合を入れトイレを出ようとした時ーー。

「ねぇ、あの向日葵先輩だっけ? 必死過ぎない?」

 噂話をしながら誰かがやってくる。彼女等の話題がわたしであると分かり、慌てて個室へ戻った。
 ほどなくして扉が開かれ、陰口はクリアに届く。どうやらわたしと同じくメイクを直しに来たみたいだ。

「急にケバくなってウケる。本宮君もいきなり先輩が色気づいて迷惑してるみたいだよ」

「えー、本宮君かわいそう。部活の先輩に言い寄られたら断りにくいじゃん」

「しかも涼介君にもちょっかい出してるし、向日葵先輩うざいわ。向日葵先輩じゃ、本宮君も涼介君と釣り合わない」

 この声には聞き覚えがある。涼介の取り巻きの子達だろう。
< 11 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop