先輩を可愛い、かわいいと言っていいのは僕だけです
 顔を洗い終え、わたしは時間通りに花壇へ足を運ぶ。
 本宮君が気まずかろうと休まず部活に参加しているのに休む訳にはいかない。可愛いと言わなくなっただけで本宮君は学校生活に支障が出る真似はしなかった。
 
「おはよう、ございます」

 先に作業していた彼はわたしの顔をみ、ぎょっとする。明らかにすっぴんなのでそういう反応をされても仕方ないか。

「おはよう、ヒマワリ咲いたねぇ」

 前髪を掻きつつ曖昧に挨拶。上手く笑顔を添えられているだろうか? 本宮君の瞳に映る自分で確かめる度胸などあるはずない。

「は、はい。それより……」

「さてと熱中症にならないよう、気を付けてお世話しよう!」

 気遣おうとするのが分かり、その優しさを避けヒマワリの元へ。

 本日、日頃の手入れが実を結び、ヒマワリは大きく立派に咲き誇る。まるでこちらの向日葵の惨めで卑屈な心を慰めようとするみたい。

「……先輩、何かあったんですか?」

 珍しく食い下がる本宮君。
 わたしなりにオシャレをしても無関心で触れてこなかったくせにーー身勝手な被害者意識が溢れそうになる。

「ん? 何もないよ」

 これが精一杯。
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