先輩を可愛い、かわいいと言っていいのは僕だけです
「ーーじゃ、僕はこれで」

 本宮君はやりとりに加わらず、立ち去ろうと身支度を始めた。彼が内心では苛立ち、付き合いきれないと感じでいるであろうことを汲み取り、絡まる事実関係を早く解かないといけない。

「ま、待って、本宮君! ちゃんと話をしよう?」

 提案に道具を片付けていた動作が止まる。額の汗を拭い、こちらを見る本宮君は明らかにわたしを疑っていた。

「ちゃんと話すって何ですか? そもそも話さなかったのは先輩です。その顔、泣いたんじゃないんですか?」

「それは……ごめん」

 本宮君の言い分はその通りで、わたしは頭を下げる。

「いえ、謝って欲しい訳じゃないので。話するなら日陰に行きません?」

 すると若干刺々しかった彼の様子が落ち着く。

「うん」

 ひとまず話し合いの場が持てそうと安心したのも束の間、またもや涼介が口を挟む。

「向日葵! 俺の話は終わってないだろ?」

 すっかり涼介の存在を忘れ、意識は本宮君へ集中していた。日陰に向かおうとする腕を乱暴に掴まれ、引き戻される。
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