先輩を可愛い、かわいいと言っていいのは僕だけです
「意地なんか張らずマネージャーやれって。お前だってしおらしくしてれば、あー、まぁー、それなりに可愛いんじゃねぇの?」

 涼介の鼻の頭を掻く癖は今も変わらず、照れ隠しだ。といえ仕草を懐かしく思う暇はなく背後から本宮君の視線が突き刺さる。

 わたしも掴まれた腕を手加減なく払い、返事をかえす。

「マネージャーはやらない。それに涼介に可愛いと思われたくてメイクを頑張っていたんじゃないし、自惚れないでよ!」

「はぁ?」

 プライドを傷付ける物言いに涼介の表情は一変、胸元を掴み凄んでくる。

「お前、何様? こっちが下手に出れば好き勝手言いやがって! 俺は地味で冴えない幼馴染みを構ってやってるんだぞ? 感謝しろ」

「そんなの頼んでない! 構ってくれなくていいよ!」

 昔は取っ組み合いの喧嘩をしてきた間柄だ、このくらいされても怯まないーーそう高を括ったが、実際は体格差があり涼介の迫力に潰されそうになってしまう。

「お前、本当に可愛くないな!」

 畳み掛けてくる気配にわたしは目を瞑った。
 そして、より鮮明に本宮君の声を拾う。

「向日葵先輩は可愛いですよ」
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