先輩を可愛い、かわいいと言っていいのは僕だけです
 本宮君は屈むとわたしだけ見て、わたしのみに語り掛けてくる。
 こんな風にされたら周囲の雑音が聞こえなくなって、本宮君と二人の世界になってしまいそう。

「僕は向日葵先輩が好きです。園芸部に入部したのもあなたが目的でした。僕なりにずっとアピールしていたんですが、先輩は全然相手にしてくれない。可愛いって言うのも口癖扱いされて悲しかった」

 いわゆる告白を公衆の面前で受け、爪先からビリビリ痺れる。ただ戸惑いや恥ずかしさよりも先に込み上げてくる感情があって、それは本宮君の気持ちに同じくらいの熱量で返したいという率直なもの。

「わ、わたしも! 本宮君にまた可愛いって言われたくて色々頑張ってみたの! 何だか行き違いがあって、涼介の為とかマネージャーになろうとしているとか、園芸部の新入部員の話とか全然違うのに……」

 胸がギュッと苦しくなる。嘘や誤魔化しを言うより、ずっと苦しい。と、視界にヒマワリが揺れ、弱気で俯くわたしを応援していた。

 一度大きく息を吸い、吐く。

「正直ね、わたしは自信が無くて、傷付きたくなくて予防線を張っていたんだと思う。本宮君に可愛い、かわいいって言われても喜び過ぎないようにしていたのも、周りのみんなに釣り合わないと陰口叩かれるのが嫌だから。けど、可愛いと言われなくなると寂しくて、物足りなくて」

 身体ごと本宮君に向け、真っ直ぐ伝える。

「本宮君が好き。他の誰でもない本宮君に可愛いって言われたい。そうじゃなきゃ意味なんかない!」
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