先輩を可愛い、かわいいと言っていいのは僕だけです


 それからーーわたし達がどうなったかと言うと。

「先輩って制服姿も可愛いですけど、私服もかわいいですね」

「……大袈裟だよ、普通のワンピースだし」

「似合ってて可愛いです」

「……うん、ありがとう」

 夏休みとなり、今日はショッピングモールへ園芸部で使う道具を買いに来た。これをデートて呼んでいいのか微妙なものの、新しいワンピースを着ている。
 そして、マメな本宮君は当然とばかりに察し、褒めてくれた。
 想いが通じて以降、また『可愛いかわいい』と惜しみなく伝えてくれ、わたしも受け止められるよう意識を変えている途中だ。

「付き合わせちゃってごめんね?」

 付き合いたてのカップルが一緒に選ぶには渋い買い物リストを眺め、謝っておく。

「僕も園芸部員ですし、部活で使う用品の買い出しは当たり前ですよ? 荷物持ちは任せて下さいね」

「それは、そうなんだけど。遊園地とか映画とかの方が気分が上がりそう? らしいのかなって?」

「行きたいんですか?」

 ガーデニング売り場に着くと、本宮君が大型カートを引いてくれた。
 ここに来るまで同年代と何人もすれ違ったが、きっと土いじりするのはわたし等だけだろう。証拠に肥料コーナーには年配のお客さんしか居ない。
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