先輩を可愛い、かわいいと言っていいのは僕だけです
「先輩が僕の事をどう見てるのか、よく分かりました」

「え、えっと……」

 本宮の発する苛立ちに言葉が詰まる。たぶんわたしに謝って欲しいとかではなく、純粋に傷付いていた。

「ごめんなさい」

 それでもわたしは謝るしか出来ない。檻のよう囚われた空間の中で身を縮め、世に言う壁ドンはドキドキより圧迫感が勝る。

 恐るおそる視線をあげれば、息を飲むくらい整った顔がこちらを伺う。どうしたって女子が騒ぐだろうなぁーーなんて見惚れかけ、首を横に振った。

「先輩?」

 首を横に振るわたしに本宮君は傾げる。この距離でその仕草をされると意識してしまう。

「ち、違うの!」

 頬が赤くなる気配を感じ、慌てて説明する。

「さ、さっきは庇ってくれてありがとう! でもわたしは大丈夫だよ? 勘違いなんてしてないから!」

「違う? 勘違い?」

 本宮君の復唱にうん、うんと何度も顎を落とす。

「あのね、本宮君がわたしを本気で可愛いって言ってないの、ちゃんと分かってる。安心して」

 そう告げた瞬間、本宮君の顔が歪んだ。
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