わたしたちが死にたかった夜にも、きっと意味はあったんだ───。
ゆ、幽霊、人間……?
聞き慣れないその単語に、わたしは眉を顰めた。だけど、その言葉には何か大切な意味が込められている気がして、わたしは食いついた。
「あ、あの……っ!お婆さんはわたしのこと、視えてるんですか?」
わたしの必死な質問に、お婆さんは一瞬暗い表情をして、うーんと唸った。そしてまたしわがれた低い声で、「……あぁ、そうじゃよ」と言った。
……っ!!やっぱり!!
だけど、なんでだろう。お婆さんの意味深な暗い声に、少し違和感を覚えたんだ。何かを真剣に考えているような、そんな雰囲気を醸し出すお婆さんに、また不安な気持ちになる。
「お前さんは、幸せ者じゃなぁ。こんなにも他人に愛されとる人間に、私は初めて出会ったよ」
だけどお婆さんは真剣な顔から一変、本当に心からそう思って言っているような、満面の笑みを湛えた。
「私は大切な人を救えんかったからなぁ……、こうやって誰かに救ってもらえとるお前さんを見ると、私もあの頃の苦しみが少し軽くなった気がするよ」
このお婆さんは、本当に何を言っているのだろう……?
疑問に思えば思うほど、焦る気持ちはどんどん胸の中に広がっていき、違和感の正体が霧が晴れたようにしてその姿を表すかのように、明確になっていく。