虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで

二章

(クラレンスside)



サシャバル伯爵家の一人娘、シャルルは我儘で傲慢なことで有名らしい。
クラレンスは弟のオリバーから月に一度くる手紙でシャルルの対応に手を焼いていると手紙に書かれていた。
サシャバル伯爵夫人も必死になりシャルルをオリバーの婚約者として押し上げようとしているそうだ。

そしてついに娘のシャルルがベル公爵の怒りを買った。
あまりにも傍若無人な態度と、娘のアリーリエが被害に遭い傷つけられたことが、とうとう許せなくなったらしい。
前々からシャルルの言動には悩まされていたらしいが、今回は我慢ならなかったのだろう。

(あのベル公爵を怒らせるとは……怖いもの知らずと言うべきか、とんでもない令嬢だと思うべきか)

クラレンスも幼い頃から知ってはいるがアリーリエは良識ある令嬢だった。
そして弟のオリバーの婚約者候補でもある。

ベル公爵からは「シャルルを一度、親元から離して行儀見習いとして働かせて欲しい」と手紙が送られてきた。
しかしナルティスナ邸には仕えるような令嬢はいない。

遠回しに言ってはいるが社交界から消したいということだとクラレンスは理解していた。
ベル公爵がここまでするのは本当に珍しいことだった。
ただ圧力をかけて潰すのは簡単ではあるが、醜聞がつきまとう。
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