交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~

業界大企業の深山グループの伝手を使って簡単に調査した結果、やはり古嵐定食は祖父が話していた古嵐家の夫婦が営む店だと分かった。
そして俺が親切にしてもらったあの店員は、そこのひとり娘。

俺の祖父と古嵐の祖母との関係を知っているのは今は俺ひとりだ。
急にそんな話をして、だから助けたいだなんて言って素直に信じてもらえるかどうか。信じたとしても、あの人の好い娘の親のことだ。遠慮されて追い返されるのが目に見える。

祖父との約束。
そして、彼女の屈託のない笑顔が、何度も浮かんだ。

――『おまえは顔はいいんだから、それで少しでも笑えば相手はすぐ見つかるだろうに』

相手、か。家族になるのは、どうだろう。
娘の旦那なら、少しは頼りやすいのではないだろうか。
祖父との約束を果たせるかもしれない。
それに、結婚するなら、あの子のように笑ってくれる女性がいい――

突拍子もないことを考えているのは分かっている。だが、祖父との約束を果たすにはこうするのがいちばんの近道になる。
利害の一致をもってして、俺は彼女に結婚を申し込むと決めた。



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