交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
この溢れんばかりの恋情を side 一織


会社に泊まろうかと思ったけど、やっぱり寝顔でもいいから小梅の顔を見たくて、丑三つ時になってやっと帰宅した。

玄関に入ってまず、小梅の靴がないのに気が付いた。
靴は靴箱に収納しただけかもしれないのに、妙な胸騒ぎがして少し急いでリビングの戸を開ける。

小梅が寝ているからとつけるつもりはなかった電気もつけて、ダイニングテーブルの上にメモ書きがあるのを見つけ、そっと手に取った。

実家に帰る…だと……?

どきりとした。
妻が突然実家に帰る時、それは大抵夫が何かやらかした時、あるいは溜まりに溜まった日頃の鬱憤に耐えられなくなった時…というのは大人に囲まれて育った俺にとって考えるに容易かった。

居てもたってもいられず小梅に電話をかけようとスマホを取りだし、現時刻が表示されて我に返る。

深夜。どう考えても眠っている時間だ。
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