交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
無事に書類は受け取れただろうか。会議に間に合っただろうか。

今日は一日に何度も電車に乗っている。

一織さんの会社に行くと言ってそのまま帰るだろうと思っていた娘が再び顔を出したので、両親は驚いていた。
でも、何も語らない私を見てふたりは何も聞かないでいてくれるのが心地よかった。

帰宅して私が居なかったらびっくりするだろうから書き置きをしてきたので、それを見たら何かしら連絡が来るかと思っていたのに、届いたメッセージを見て一気に力が抜けた。

『トラブルが起きて、今夜は帰れそうにない』
『戸締りしっかりして、ベッドで寝ているんだぞ』

なんだ。じゃあ、実家に帰ってこなくても今日は顔を合わせずに済んだのか。

今日は泊まって、そのまま午後から仕事、明日はマンションに帰ればいい。
実家に帰ってるなんて突然言ったら、彼に余計な煩いをかけてしまうかもと思って、了解の旨と体を労るスタンプを送るだけにした。

ありがとう、とまた返信が来て、私は瞼を閉じた。




< 99 / 167 >

この作品をシェア

pagetop