交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~


俺たちがやってきたのは、様々なスポーツを気軽に楽しめる大人向けのレジャー施設だ。
前に、お互い体を動かすことが好きだと分かった時小梅が提案してくれた。

カップルや夫婦、友達同士などで訪れている初対面の相手とチームになったり敵になったりと、その日その場限りの付き合いを楽しめるのも魅力のひとつとして有名な場所だ。

「一織さん!思いっきり楽しみましょうね!」

「あぁ。もちろん」


――小梅も俺も、勝負をするからには勝ちたいという負けず嫌いなタイプで、テニスやフットボール、バスケなど、学生の時は体育でやったようなものから、中高時代、部活をしていたバレーまで、それはもう時間を忘れて楽しんだ。

同じチームになった夫婦やカップルからは、『おふたりともとてもかっこいいですね』なんて言われまくって、小梅と顔を見合せて笑った。辺りが暗くなり始めるまで満喫して、少し離れたところにある駐車場まで歩いて向かう。

「ふぁ〜、こんなに体動かしたの何年ぶりだろ。バレーもすっごく久しぶりにできて、楽しかったです」

「俺も、学生時代に戻ったみたいで楽しかった。小梅は運動神経がいいからなんでも出来てたけど、やっぱりバレー上手いな」

「えへへ。ありがとうございます。 そういう一織さんこそ、運動も得意とか、スペック高すぎですよ」

照れたように笑って、小梅が俺の顔を見て言う。
ひとつ結びにした髪が揺れる度に、どくんと胸も鳴った。

「まあでも、明日は全身筋肉痛だな」

「たしかに。お互い、調子に乗って本気になりすぎましたね」

胸の高鳴りを誤魔化すように現実的なことを言うと小梅は、あはは、と楽しそうに笑う。

と、前方から自転車が来るのに気がついて小梅の体を引き寄せる。「あ、ありがとう、ございます…」

急に近づいた距離のせいだろうか。小梅はぎこちなく言う。

そっと離した手を、そのまま小梅の左手に重ねる。

ぴくりと肩を跳ねさせ、彼女はきゅっと控えめに握り返してくれた。

それが嬉しくて、なんだかくすぐったくて、むずがゆい。
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