交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
「次はどこに行きたい?」

「ん〜、そうですねぇ。…あ、」

「ん?」

「これ、」

ふと、小梅が足を止めて見やったのは、たくさんの緑の真ん中に大きなテントが建てられ、BBQを楽しむ様子が映された宿泊施設の広告だ。

「グランピングか。 …興味あるのか?」

「はい。キャンプとホテルのいいとこ取りと言いますか…気軽に楽しめそうだなぁって」

俺は、小梅とだったらどんなことでも楽しめると今日確信した。小梅の行きたい所に行って、ふたりで笑っていたい。

だから、少し思い切った提案をしてもいいだろうか。
アウトか、セーフか。言ってみないと分からない。今の俺たちの関係性で、どこまで許されるのか、知りたくなった。

「…それなら、新婚旅行の前菜ってことで、少し遠出するか」

「え、? …しんこん、りょこう…前菜、前菜? ってことは、メインディッシュがあるんですか?」

俺の微妙な例えに、小梅が声を上げて笑う。

「当たり前だ。本番は海外でもどこでも、最低でも1週間は休みをもぎ取るから行きたい所考えておけよ」

小梅はぽかんとしたあと、ふふっと控えめに笑う。

「分かりました。考えておきますね」

うーん。冗談だと思っているな、これは。
俺がその気になれば、というか新婚旅行のためなら何でもする気でいるというのに。
まぁ、メインディッシュはもう少しあとに取っておくとして。

今はまだ、お互いを知る期間。小梅は少なくとも、俺といて楽しいとは思ってくれているはずだ。小梅は明るくて社交的で、人と仲良くなるのが上手いと分かったけど、それでも今日会ったばかりの人間よりは気兼ねはいらないと。
< 29 / 119 >

この作品をシェア

pagetop