交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
四、すれ違っても
「同窓会?」
一織さんが食器を洗い流しながら私の言葉を復唱する。
私はお皿を受け取って拭きあげ、棚に仕舞う。
「はい。中学の同級生で仲が良かった子なんですけど、結婚式の後、軽い同窓会みたいなのを開くらしくて」
「いいな。久しぶりに会える友人もいるんじゃないか?」
「行ってきてもいいですか?」
一応、お酒の席なので。
一応、本当に一応、一織さんにお伺いを立ててみた次第だ。
水道を止めて、彼は私を見つめる。
「たまには外で、ゆっくり楽しんでこい」
「はい!」
「…帰りが遅くなるようだったら、心配だから迎えに行く」
夜道が心配、ってことだよね。
ここは甘えておこう。
「ありがとうございます」
へへ、と笑ってみせると、一織さんがふっと視線を逸らす。
あれ?いつもなら、ほんの少し微笑み返してくれる気がするのに。
…少し調子に乗ってみてもいいかな。
いつもは、ドキドキさせられてばっかりだから。
「心配しなくても、私は一織さんのところに帰ってきます。絶対」
「…当たり前だ」
あ、赤くなった。
なによもう、可愛いなぁ。
いひひ、と笑うと、一織さんはむっとして私の頬を摘む。
「いひゃい…」
「小梅、俺をからかうことを覚えたな?」
「すみませんでした…100年早かったです」
一織さんがふっと笑って、頬から顎に指を滑らせる。
すると、不意にぐっと顔が近づいた。
鼻と鼻がくっつきそうな距離で、私はびっくりして息が止まる。
「息、止めてたら苦しいだろ」
だ、誰のせいで…!
ぱっと一織さんが離れて、くくくっと楽しそうに笑うのを今度は私がむっとする番だ。
くうぅ…やっぱり敵わない。一織さんの方が1枚上手だ。