交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
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クリニックでの仕事を終え、帰路に着く。
最近はすっかり残暑も落ち着いて、この時間は冷え込む日も多い。
夕飯はお鍋にしようかなぁ。白菜がないから買い物をしていこうか。あ、卵と牛乳もないかも。あとは、一織さんが使っているシャンプーもストックが無かったから買っておこう。
最寄りのスーパーへ寄ることを決めて、買い物リストを頭の中で組み立てていく。
実家に住んでいた時はたまに買い物を頼まれるぐらいで、こうして毎日献立を考えて買い物に行ったり、日用品の備品の把握をしたりすることはあまり無かった。
一織さんと結婚してから習慣化した家事や炊事もだいぶ慣れたし、何より彼がとても協力的なので助かっている。
休みの日は一緒に食事を作ったり普段できないような所の掃除をしたりするのが楽しくて、充実した暮らしができている。
それもこれも、一織さんのおかげだ。毎日、きっと私には計り知れないほど責任のある職に就いていながら、私のことも気遣って大事にしてくれているのが伝わる。
胸元で控えめに輝くリングに触れ、思わず笑みがこぼれた。
早く帰ろう。一織さんを、暖かい夕飯と共に迎えるために。
「古嵐さん?」
不意に背後から声がかかった。
聞き覚えのある声に振り返ると、私の顔を見て「やっぱり!」と栗色の髪を揺らした。
「戸川くん…!」
「久しぶりだね。高校卒業以来かな」
「久しぶり。元気にしてた?」
「変わりないよ。古嵐さんも、元気そうだね」
中学高校の同級生の戸川くん。彼の言う通り、同じクラスになることが多かった学生時代を過ごし、高校を卒業してから、会うのは初めて。
私にとっては周りの男の子よりも落ち着いていて優しい雰囲気だったから話しやすかったんだよね。
だけど、戸川くんにとっては……