交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~



ホテルのホールで始まった同窓会では、懐かしい顔ぶれが揃っていた。
それぞれが、それぞれの青春を思い出して楽しんでいる。

その中にはもちろん戸川くんの姿もあったけれど、会話はしていない。
この前、戸川くんが何か言いかけた時に逃げ帰ってしまったからますます顔を合わせずらい。

「古嵐さん、結婚したんだって? おめでとう!」

幹事をしてくれた山本さんに言われて、思考を戻して咄嗟に笑顔を作る。

「ありがとう」

「ねぇねぇ、相手の人って、もしかして戸川くん!?」

思わぬ名前にどきりとした。

「えっ!? ち、違うよ!」

「あ、そうなの? ごめんね、ふたり中学の時仲良かったし、もしかしたらって思ったんだけど…ほんとごめん!」

山本さんは眉を下げて慌てた様子で謝る。
結婚しそうなほど仲が良く見えていたの…?
そんなつもりはなかった…なんて、今更言っても仕方がないよね。
実際、戸川くん本人に告白までされているんだし……

常に冷静で落ち着いているから冷たく見えるけど、優しくて、頼りになる私の旦那様。
それは他の誰でもない、一織さんだ。

山本さんは納得してくれて、他にも何人か私と戸川くんの関係が続いていると思っている子がいたらしいので伝えておくとも言ってくれた。

その後は、食事とお酒を嗜みつつ当時のクラスメイトと話を膨らませた。

昔のことを思い出したせいか、…なんだか無性に、一織さんに会いたい。
少しお酒が入ってふわふわした頭で、気づいたら、一織さんにメッセージを送っていた。

彼にも、伝えなきゃ。

私が、世界でたったひとり選ぶのは一織さんだって。

好きって思ってもらいたいのは、あなただけだって。
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