交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
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午後七時を回る前、俺はやっとパソコンを閉じ、コートを羽織るのもそこそこに社長室を後にする。
すれ違う社員と挨拶を交しつつ、足は早まるばかりだ。
エントランスを出て右手の大きな木のオブジェの下。小梅との待ち合わせ場所だ。
まだ小梅は来ていないようで、寒空の下待たせることにならなくて良かった。
吹き付ける風が冷たいから、近くに自販機を見つけて暖かい飲み物でも買っておこうかと辺りを見回した時。
「深山社長」
聞こえた声にぴくりと額の血管が反応する。
「お仕事は終わりました?」
「丸山副社長、なぜここに?」
「質問を質問で返すなんて。昼間は随分と警戒させてしまったようですね」
まさか俺を待っていたのか?なぜ、わざわざ会社の前で?