天使の受難 アレクサンドラとグルシア(魔法の恋の行方・シリーズ10)

魔女の無害化作戦

<魔女の無害化作戦>
魔女の邪悪、つまり毒気を抜く事。
それは、ニンゲンとして当たり前の生活をすること、規則的な生活習慣をつけることが前提になる。

魔女は酒を主食とし、ドラッグやたばこ、ストロングのブラックコーヒーを好む。

眠る事もしないし、疲れを感じることもない。
魔界や魔力のある状態なら問題はないが、人間の体ではすぐに健康面に支障がでる。

それに、ニンゲンとして生活する、日常の睡眠、食事、入浴、
排泄、着替えをすること。

魔女に、日常のこまごまとした雑事をさせること、
それは、邪悪な事を考える時間を与えないためにも必要な事だ。

「魔女、アレクサンドラ、
これ以降、お前の無害化の準備をしていく。
監督は、天使長である私だ」

「ハイハイ、ご苦労さんなこって・・天使長様の手をわずらわすなんてね」

魔女はふてくされるように、
しかし、挑発するように、目を細めた。
「お前に徴(しるし)はつけられないぞ。一緒に焼かれるからな」

グルシアは、隣のベッドに座った。
この寝室は、セミダブルベッドが二つ入っている。
その奥には、ウォークインクローゼットが設置されている。

「無害化するためには、
まず、ニンゲンの生活に慣れることが重要だ。
ニンゲンのライフスタイルは
多様だから、適性も色々ある。
その見極めを私が行う」

魔女に、主導権がこちらにあることを、常に見せつけねばならない。
< 18 / 67 >

この作品をシェア

pagetop