天使の受難 アレクサンドラとグルシア(魔法の恋の行方・シリーズ10)
魔女は片手で白、もう片手に黒を持ち、振り子を振るように

「新婚夫婦には絶対、必要なアイテム・・と宣伝文に書いてあったし。
オットの下着に、気を配るのも
ヨメの仕事なのだろう?」

魔女のエメラルドグリーンの硬質な輝きが、なぜかグルシアの体に突き刺さる。

「俺には必要ない!もういいって!!」

グルシアは息を荒くして、
黒ビキニパンツを素早くひったくった。
顔が上気する。心臓に悪い。

こいつは朝の騒動のなかでも、
俺の体を、しっかりとチェックをしていたのか。

「あーー、そーーー」
魔女は残念そうに、肩をすくめた。

こいつはやっぱり魔女だ。

「俺は天界に戻って残った仕事をする。
先に寝ていろ。シャワーを浴びろよ」

グルシアはビキニパンツを、
ズボンのポケットにねじ込んで、立ち上がった。

「いってらっさい」

魔女は、小さな白のパンティを振って見送った。
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