図書館の彼
「おかえり〜。
あら、咲依ちゃんのお友達?」
「うん。図書館で仲良くなった人。
私の本を貸したくて寄ってもらったんだ。」
「お邪魔します。」
「どうぞ〜。」
「私の部屋はあっちです。」
馨さんを部屋まで案内して、ふたりで部屋に入る。
私は男の人を部屋に入れるのが初めてで少しドキドキしていたけど、馨さんは真剣な顔で話を切り出した。
「今回は本当にごめんなさい。僕のことで迷惑をかけてしまって。」
「それはもういいですよ。」
「ちゃんと説明しますね。聞いてくれますか?」
「もちろん。聞かせてください。」
「僕の両親は吸血鬼で、あの研究所から十分な人間の血を分けてもらうかわりに、血を提供してました。
今みたいな感じではなくて、純粋に医療の発展のためでしたし、研究所のみんなともとてもいい関係を築いていたと思います。
でもある日、さっきあの場所にいた男が自分の欲を満たすために当時の所長を殺し、自分の弊害になるかもしれない僕の両親も殺しました。
当時5歳だった僕を閉じ込め、血を少量ずつしか与えないようにして、僕の血を定期的に採取しに来ました。
僕はその程度の血では力も持てず、生きるためにそいつの言うことに従うしかありませんでした。
人間を襲って吸血するのは望ましくないと、両親から教えられていたので。」