図書館の彼
夏休みに入ってほぼ毎日のように図書館に来るようになった。
あの男の人も毎日のように来ているようで、見かける度に話しかけてくれる。
そしてその人があの日の職員らしき人と話してるのも度々見かけて、その人と帰った次の日は図書館に来なかった。
別に関係ないからと思っていたけど、段々と彼と話すのが楽しみになってきていた私は、つい聞いてしまった。
「あの知り合いの職員の人?とどういう関係なんですか?」
「……んー、保護者的な感じかな。」
少し考えるような間があったあと、曖昧な感じにそう言った。
「年齢的にお父さんっぽくはないから、親戚のおじさんとか?」
「そうですね。」
濁すようにそう言った彼は、それ以上聞かれたくないというように別の話を始めた。
なんとなく触れない方がいいんだろうとわかってはいたものの、彼と話すのが好きで回数を重ねるうち、どんどん知りたいことが増えていく。
名前は教えてくれるだろうか。
「あの、名前を聞いてもいいですか?」
「馨です。あなたは?」
「咲依です。」
「咲依さん。」
「はい。」
「もう出会って1ヶ月くらいになるのに今初めて知るなんて、なんか不思議ですね。」
「そうですね。
ここで会うだけの関係だし、聞いていいのか迷ってました。」
「そうですよね。
もしよかったら、もっと咲依さんのこと知りたいです。」
「もちろん。
私も知りたいです、馨さんのこと。」