【完結】鍵をかけた君との恋
 顔を上げて彼女を見る。必死に気持ちを伝える彼女が滲んで瞳に映り込む。

「乃亜ちゃんのお母さんになれないのは知ってる。でも、親戚の叔母さんくらいの関係にはなりたいっ。ううん、友達みたいな関係でもいいっ。なんでもいいから、私はふたりとずっと繋がっていたいっ」

 次に彼女と会ったとしても、もう話すことなどないだろうと思っていた。どれだけ謝られたとしても、絶対に許さないのだと決めていた。

「ずっと家に帰らなくてごめんね。乃亜ちゃんに寂しい思いさせて、ごめんなさい」

 だけど彼女は選んでくれた。私と父と過ごす未来を、彼女自身が選択した。

 よかったね、乃亜。

 その時、母の声が聞こえたんだ。


「べつに、私はどっちでもいいけど」

 私は素直じゃない。この不器用なところは、父譲りなのだろうか。

「じゃあ一緒に住んでもいいの!?」
「ど、どっちでも」
「やったあっ!」

 彼女を許したのか許していないかはわからない。だけど一緒にいたいと思える人。複雑な顔をしているかと思いきや、おそらく今の私は彼女と同じ笑顔だろう。


 荷物をシェアし、ふたりで歩く帰り道。

「でもさ、万が一奈緒さんのプロポーズが失敗したらどうするの?」
「あ。それは予定になかった。どうしよう」
「また出てくの?」

 うーんと顎に手をあて考え、彼女は閃く。

「そしたらもう、乃亜ちゃんに結婚申し込もうかなっ」

 心に染み入る今日という日は、陸に報告することがまた増えた。星占いは大当たりだ。
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