鮮血の妖精姫は、幼馴染の恋情に気がつかない ~魔法特待の貧乏娘、公爵家嫡男に求婚されつつ、学園生活を謳歌します~

脳筋仲間(だと思っていた人)から、突然のプロポーズ

 マリアベルは、これから王立学院に入学する。
 この学院に通うのは、主に貴族と富裕層。
 特別な能力を認められた場合は学費を免除され、平民でも通うことができる。
 貧乏伯爵家のマリアベルは、「王立学院の学費なんて、用意できないわね!」と入学を諦め気味だったが、なんと魔法特待で入学決定。
 貴族なのに、学費免除の特待枠である。これにはマリアベル本人もちょっと笑った。

 学院では、入学直後にパーティーを行う。
 卒業後のデビュタントの予行演習を兼ねた、それなりに格式高い場だ。
 そこでマリアベルのエスコートを担当するのが、幼馴染のアーロン・アークライト。
 彼は今日、パーティーの打ち合わせのためにマニフィカ伯爵家を訪れていた。
 アーロンはマリアベルの1つ上だから、そろそろ二年生になる。
 貧乏なマリアベルを哀れに思ったのか、パーティー用のドレスも、身なりを整えるための使用人もアークライト公爵家で用意してくれるらしい。
 いたれりつくせり、大感謝である。

 アークライト公爵家は、武功で名をあげた公爵家だ。
 その家の嫡男であるアーロンも、剣の腕は相当なものである。
 マリアベルほどではないが、魔法だって使える。
 だからきっと、戦いに身を投じるマリアベルに理解があるのだろう。
 他の令息たちはささっと逃げていく中、アーロンだけは昔から変わらず優しい。

 戦闘特化型同士、分かり合える部分があるのかしら!? 

 マリアベルは、そんな風に思っていた。
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