元皇女なのはヒミツです!

30 元貴族?

「ねぇ、リナって元貴族なの?」

「っぷはっ……!?」

 思い掛けないアメリア様の発言に、私は飲んでいるお茶を吐き出しそうになった。激しく動揺して、ガタガタと音を立てながらソーサーにカップを置く。手の震えが止まらなかった。

「い、いえ……わ、わ、私は……」

 私は彼女の不意打ちにすっかり動転して二の句が継げない。

「別に隠さなくてもいいわよ」

「わ……私は生まれも育ちも平民です……!」と、呻くように答える。

 アメリア様は怪訝そうな顔で、

「所作でバレバレなんだけど」

「嘘っ!?」

 ぎょっとして思わず立ち上がる。ターニャさんと一年かけてあんなに平民になる訓練をしたのに、な、なぜ……。

「それで隠せているつもりだったの? ま、わたしもこうやって一緒にお茶を飲むまでは分からなかったけどね。平民はそんな風に優雅にカップを持たないわ。隠すのならもっと上手くやるのね」
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