元皇女なのはヒミツです!

32 エカチェリーナ捜索隊

「リナ、セルゲイ、こっちよ! 早く早く!」

 意気揚々と前を歩くアメリア様が振り返って私たちを急かした。

「あんまり走るなよ、転ぶぞ」

「そうですよ。危ないからちゃんと前を見てください」

「分かってるわよ! 二人とも早く来て!」

 私たちは約束した通り次の休みの日に早速エカチェリーナを探しに王都の中心街へと繰り出した。
 捜索といっても、アメリア様は久し振りに来た街の散策を楽しんでいるようで、さっきからずっとはしゃいでいる。
 無邪気な彼女の様子をセルゲイはぼんやりと眺めながら、

「このまま皇女探しを忘れてくれるといいんだが……」

「そうね……」
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