元皇女なのはヒミツです!

58 光差す道へ⑥

「さすが帝国の皇女様……なかなかしぶといわね」

 私は肩で息をする。魔法陣から湧き出た魔獣たちは全て倒した。でも、それらは無尽蔵に現れて、きりがない。

「狩り大会のときもあなたの仕業だったのね」

 あのときも正体不明の魔法陣から数多の魔獣が溢れ出た。結局、原因は分からず終いで調査は頓挫したみたいだけど、ほとんど情報のない闇魔法なら突き止めるのも困難だ。

「そうよ。あのときは分不相応にも王太子殿下に近寄る生意気な平民を軽く懲らしめてあげようと思ったけど、あなたが皇女だったって知っていたら殺せば良かったわ」

「なんて卑劣な……!」
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