元皇女なのはヒミツです!


 しかし、それからも毎日のようにグレースをはじめとする貴族たちから嫌がらせを受けた。
 最近は彼女たちはセルゲイに見つからないように巧妙に仕掛けてくる。なるべく無視を決め込むようにしているけど、さすがにノートや私物を壊されるのは経済的にきつかった。

 特待生とは言うものの、それは学内の範囲でだ。持ち物は自分のお小遣いで購入をしなければならない。
 アレクセイさんからもらったお金は使いたくないので、私は学校が休みの日は定食屋で働いた。その分、勉強をする時間が削られるので睡眠時間を削って確保した。

 だんだんと平民の暮らしの過酷さを実感してきた。
 生活にはお金がかかる。一生懸命働いても賃金はごく僅か。貴族の令嬢の一回分のお茶のおやつ代にも満たない。
 それでも仕事があるだけ有難いし、仲間と一緒に働くのは楽しいし、自分で稼いだお金は宝物のようにとても重みを感じる。そこには、これまで感じたことのない充実感も確かにあった。

 大丈夫、私は上手くやれるはず。
< 48 / 371 >

この作品をシェア

pagetop