元皇女なのはヒミツです!

16 新入生歓迎パーティー③

 コツコツと規則正しい靴の音が響く。
 フレデリック様がゆっくりとこちらへやって来る。
 そして私たちの前で止まって、ゆっくりと周囲を見回した。

 目が、合った。
 息が、止まる。

「君は、あのときの……!」と、フレデリック様は驚いた顔をした。

 私は頭を下げて、

「フ――王太子殿下、その節はありがとうございました。存じ上げなかったとはいえ、数々のご無礼お許しくださいませ」

「……顔を上げて?」

 もとの姿勢に戻るとフレデリック様は笑顔で私を見ていた。とても柔らかくて、春の陽だまりのようだった。

「もう一人で買い物できるようになったかい?」

「は、はいっ!」

「それは良かった。……それで、その汚れは?」
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