たとえ君の記憶がなくなっても。
渡したいものってなんだろう。
学校についてからも気になって気になって……。
上の空のまま一日が終わってしまった。
荷物をまとめて帰る準備をする。
頭の中では今朝のユイトくんの表情が、浮かんでは消えを繰り返していた。
「渡したいものがある」
そう言ったときのユイトくんは何かを決心したような、何かを諦めたような、そんな瞳をしていた。
「小林さん。帰ろっか」
ユイトくんに声をかけられ、まだ騒がしい教室を二人並んで後にした。