【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。
「俺を優しいなんて思っているのは君くらいだから安心してくれ」

 そんなことないと思うけど……と、森で少年がロルフを優しいと言っていたことを思い出す。けれど、今は言わない。きっと、全部解決したら沢山の人がロルフに直接言ってくれるだろう。散々悪口を直接聞いてきたのだから、賛美だって直接聞いていいはずだ。

「ロルフ様、後ろを向いて頂けますか」

 ニーナの言葉を不思議がりながらもロルフは身体を反転させ逞しい背中を向けてくれる。

「……ニーナの顔が見えない」
「子供みたいなこと仰らないでください。……この傷はきっと、ロルフ様の翼の跡だったのですね」

 いつか、ロルフが見せてくれた背中の跡を指でなぞる。白い肌には無数の傷が広がっているが、なかでも一際大きいのがこの肩甲骨を覆うような痣だった。

 はじめて見たとき、言葉を失った。聞かされた呪いの話はあまりに悲しくて。苦しくて。

「……完全に呪いが解けたわけじゃない。今日君と別れたあともう一度竜化を試したんだ。だが時間は限られているようだし、胸の痛みも大きい……君の香水のおかげですぐ痛みはなくなるが続けての竜化は不可能だった」

 ロルフが体勢を向け直して、散らばった服の中から小瓶を取りだした。中には香り玉が入っている。

< 148 / 204 >

この作品をシェア

pagetop