【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。
「申し訳ありませんっ、水の音で聞こえなくて……今止めますねっ! ってわあぁっ!」

 リリィは水を止めようとして逆に大量に放水してしまい、その水が王妃にかかりそうになる。従者の男が体を張って最悪の事態を防いだ。

「無礼者っ! 王妃様に水がかかったらどう責任をとるつもりだ!?」
「もっ、申し訳ありません!」

 びしょ濡れになった男がリリィを怒鳴りつけ、もうそこに服の破れた音を気にしているような様子はない。リリィが誤魔化してくれたのだ。

「……もう結構。ドレスの裾が濡れてしまったわ。着替えなくては」
「はっ……おい、メイドのお前。その花は王妃様の大切なものだ。水やりは不要だからな。絶対に触れるな」
「はいっ、承知致しましたっ」

 踵を返して足早に植物園を出て行く王妃に次いで男も退出した。
 姿が完全に見えなくなったのを確認すると、ニーナは木陰から飛び出して優しすぎる友達を抱きしめた。

「ごめんねリリィ……私、あなたにずっと冷たい態度だったのに……っ、それなのに……っ」

 ぎゅっと腕に力を込めると体温が伝わってくる。安心して、なんだか涙がでてきた。

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