没落令嬢のおかしな運命~餌付けしたら溺愛されるなんて聞いてません!~


 自分の間の悪さを呪っていると、アル様が決まり悪げに頬を掻いた。
「ごめんね。騙すつもりはなかったんだ。というより僕は世界樹を守る仕事で魔力を使い果たし、子供の姿になってしまっていた」
 詳しく話を聞くと、アル様を含む魔法使いは魔力を大量に消費すると体内の残りの魔力を保持するために一時的に子供の姿へと変化してしまうらしい。それは生命維持活動の一種だという。

「もちろん時が経てばもとには戻るよ。だけど僕は一日でも早く魔力を取り戻したかった。今のままじゃ充分な魔法が使えない。だから大陸へ渡って魔力を取り戻す旅をしていた。……そんなある日、メルゼス国から上質な魔力を感じたんだ。それを追って来てみたらシュゼット令嬢に辿り着いた」
「私に?」
 私が怪訝な表情を浮かべるとアル様が頷いた。
 そして、次に彼は衝撃的な内容を告白する。

「シュゼット令嬢、君は癒しの魔力を持つ特別な乙女なんだ」

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