愛した人は剣奴だったから
 噴火が収まった後、あの島には平穏が戻り農業も再開されている。アデリアの母とテラスの二人で開拓して農園を作り上げたのだ。農園の奴隷もテラスが奴隷市場で見つけてきて手塩にかけて育成してきた。農園の利益はもちろんだが奴隷のことも気にかかる。シルミスに渡してなるものか……。

 そんな気持ちもあり、この一年、お見合いを勧めてきたのである。

(お嬢様は本当に無邪気だわ。けれども、男を見る目がありますよ……。あの男は、素晴らしいわ)

 しかし、彼は、祖国を奪還したいという願いを胸に秘めている。本当の事を、アデリアに言うべきなのかどうか悩ましいところである。

「アデリア様、あなた様が幸せになるのなら何でもしてみせます。しかし、こればっかりはどうしようもありませんのよ……」 

 世間知らずのアデリアは初めての恋に惚けている。出来る事なら、アデリアの恋を成就させたいのだが……。

 テラスは、アデリアの無邪気さを慈しむように目許を緩めながら静かに溜め息を漏らす。

「困りましたわ、どうしたものかしら……」

       
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