愛した人は剣奴だったから
 アデリアが黙ったまま見上げていると、レンシーが唇を一文字に結んだまま顔を寄せてきた。好きな人の視線に幻惑されて意識がザーッと一点に向けて流れ去っていく。アデリアは涙ぐみながらも感動していた。

(やっと会えた……。あたしの目の前にいる)

 しかし、彼は、ずっと鋭い目付きをしている。

「オレは奴隷だ。テラスの命令に逆らえなかった。今夜、身体で奉仕するように言われた。言っておくが、最初は、下半身が切り裂かれるように痛む。血も出る。でも、暴れるなよ。こんな事はさっさと済ましてしまいたいんだよ」

「えっ、痛い? なぜなの?」

「……そんなことオレに聞くなよ。そういうふうに女を作った神様に聞けよ」

 流暢にオスベル語を喋っている。異国民であろうとも、教養がある者はオスベル語を習得しているという。きっと、彼も幼い頃に習っていたのだろう。

 こんなふうに異性と向き合う事に慣れていないアデリアは頬を赤らめながら訴えていく。

「あの……。そ、そういうのは困るの」

 だが、彼の長い指がアデリアの胸をまさぐっている。首筋や鎖骨を吸う唇の唾液の粘度が増していく。男女の営みが何たるかを知らないアデリアは震えていた。

 会いたかった……。あなたが好きなの……。アデリアは全身を強張らせたまま首を振って訴えていく。

「そんなつもりであなたを探したんじゃないの!」

 嫌だと告げているのにドレスの裾を大胆に捲りあげられてしまっている。

 アデリアが、ひっくり返った蛙のように手足をバタつかせていると、寝台に撒かれた花びらがハラハラと舞い上がった。

 彼は、アデリアの脚を強引に開かれてしまい、太股やお尻が露になってしまっている。

「えっ、や、やめて……」

 アデリアは身体を反らして唇を半開きにして訴えていくが、肩を押さえつけられて動けなくなっている。叫ぼうとすると口を手で塞がれてしまった。アデリアの右の乳房を鷲掴みしている。陵辱されているのだと思うと恥しさに胸が詰まった。駄目。こんな事は望んでいない。違う、違う。そうじゃない。

 欲しいのは愛の言葉や優しい微笑みや楽しい会話なのだ。

 アデリアは惨めさを感じていた。

 彼は、小さな胸の輪郭を変えるほど強く握り締めたまま脅すように囁いている。

「おい、おまえの中に入るぞ。本当にいいんだな?」

 まるで、刺し殺すぞと言われているかのような迫力だった。追い詰められたアデリアは青褪めていた。怖ろしさを感じて、ジワリと目頭に熱が込み上げてくる。

彼の長い指がアデリアの胸を包み込んだ。触れられるうちに体がしっとりと汗ばんできた。

 アデリアが暴れるごとに寝台に撒かれた花びらがハラハラと舞い上がる。アデリアの焦りが加速していく。

「やだっ、こんなのイヤよ! やめてよーーーー」

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