愛した人は剣奴だったから
「あんたらの為に馬車を呼んでやるよ」

 しばらくすると、驢馬が引く小汚い荷車が居酒屋の前で停車した。ここから、少し離れた丘陵地帯に向かうらしい。アデリア達が荷台に乗り込むと女将がレンシーの背中を叩いて送り出している。

「あんたら、死ぬんじゃないよ!」

 ゴトッ。夕刻の街を馬車が進み出していた。郊外へと出る途中に橋を渡ったのだが、下水が流れ込んでいるせいなのか河岸から吹く風はどこか生臭い。

(それにして、秘密の儀式ってどんなものなのかしら……)

 予測不能の何が待ち受けている。恐ろしいところだと知りながらも魔窟に進むしかなかった。
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