愛した人は剣奴だったから
 その後、アデリアは衣服を身に着けた。

 この時のアデリアは朝の淡い光を背にしていた。上等なドレスを身にまとっているのに髪は少年のように短い。今のアデリアには不可思議な色気があった。

「おまえは砂漠のオアシスに咲いた花のようだな。花を愛でる男の気持ちが今なら分かるよ」

 仰向けのままアデリアを見つめたまま、どこか哀しげに微笑している。

「何、それ?」

 その唇は、ゆっくりと首筋から胸元へと流れる。こんなふうに身体に刻印を押されると、ゾクゾクとしたものが呼び出されていく。幸福の余り泣き出したいような気分になる。

 アデリアは彼の頭を抱えて彼の髪を優しく撫でた。レンシーがアデリアの皮膚と心に色を重ねている。耳の裏側や、瞼や唇など皮膚の薄い場所場所に優しく触られると嬉しくて堪らない。

「おまえだけだ」

 身体の芯が蕩けるような気持ち良さにアデリアは吐息をこぼす。

「やだ。こ、こんなの……。恥ずかしいわ」

「オレは恥ずかしくない」

 やがて、二人は自然に溶け合い一つになったのだ。


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