愛した人は剣奴だったから
「本当はずっと前からゴビはジクを狙っていたんだよ。小国を倒して、そこから富を吸い上げて軍備を整えていったんだ。そして、いよいよ潮が満ちたということだ」
ジクの国境付近は一発即発の状態だった。すでにゴビ軍を牽制する為に、ジクの騎兵隊が出動しているという。
「あ、あたし、何があっても、レンシーとは離れないわ。レンシーが、ゴビの国と闘う為に、マサリの軍の傭兵になりたいというのなら、あたし、マサリの宮殿であなたの帰りをずっと待っているわ! あたし、レンシーと結婚する! あたし、あなたとこれからずっと暮らしたい!」
「アデリア、よく聞いてくれ」
不思議なくらい無機質な声で告げた。
「レンシー・アスベルは、アデリアと一緒にはならない。おまえとは暮らさない。それは無理なんだ」
「なにを言っているの?」
「事実を言っている」
レンシーと視線が合う。いつもは凛としている彼の瞳が曖昧に曇っている。
「レンシーは君を妻にしない」
なぜ、急に、そんな奇妙な言い方をするのだろう。
得体の知れない不安に包まれてしまう。彼は、なぜ、こんなふうに突き放した口調で喋るのだろう。
「ねぇ、あたしのことは好き?」
「ああ、もちろん、好きだよ。頭がどうにかなるくらい、誰よりもおまえを愛しているよ」
「じゃぁ、どうして一緒になろうって言ってくれないの! ねぇ、どうしてなのよ!」
「ごめん、アデリア。無理なんだ」
そんなふうに謝られても困る。一体、何のために苦労してここまで来たのか分からなくなる。
「いつか、すべてを君に話す。君を愛している」
そう告げられても訳が分からない。ただ、奇妙なざわめきが心を揺さぶる。その夜は少しも眠れなかった。何となく眼前に何かが迫っているのは感じていたが、まさか、予想を越える真実を聞かされることになるとは思ってもみなかった。
ジクの国境付近は一発即発の状態だった。すでにゴビ軍を牽制する為に、ジクの騎兵隊が出動しているという。
「あ、あたし、何があっても、レンシーとは離れないわ。レンシーが、ゴビの国と闘う為に、マサリの軍の傭兵になりたいというのなら、あたし、マサリの宮殿であなたの帰りをずっと待っているわ! あたし、レンシーと結婚する! あたし、あなたとこれからずっと暮らしたい!」
「アデリア、よく聞いてくれ」
不思議なくらい無機質な声で告げた。
「レンシー・アスベルは、アデリアと一緒にはならない。おまえとは暮らさない。それは無理なんだ」
「なにを言っているの?」
「事実を言っている」
レンシーと視線が合う。いつもは凛としている彼の瞳が曖昧に曇っている。
「レンシーは君を妻にしない」
なぜ、急に、そんな奇妙な言い方をするのだろう。
得体の知れない不安に包まれてしまう。彼は、なぜ、こんなふうに突き放した口調で喋るのだろう。
「ねぇ、あたしのことは好き?」
「ああ、もちろん、好きだよ。頭がどうにかなるくらい、誰よりもおまえを愛しているよ」
「じゃぁ、どうして一緒になろうって言ってくれないの! ねぇ、どうしてなのよ!」
「ごめん、アデリア。無理なんだ」
そんなふうに謝られても困る。一体、何のために苦労してここまで来たのか分からなくなる。
「いつか、すべてを君に話す。君を愛している」
そう告げられても訳が分からない。ただ、奇妙なざわめきが心を揺さぶる。その夜は少しも眠れなかった。何となく眼前に何かが迫っているのは感じていたが、まさか、予想を越える真実を聞かされることになるとは思ってもみなかった。