愛した人は剣奴だったから
ゴビ軍兵士が国境地帯で略奪を繰り返しており、ジクの我慢も限界となっていた。テラスガ訪問した頃、ノラカンナのゲリラ兵士とマサリの正規軍を合わせて闘うしかないとマサリは判断したという。
ザトラ三国の貴族は捕虜となっているが、下級将校達はオスベルの各地にまだまだ潜んでいる。それも秘密裏に招集することにした。
連合部隊。これを指揮する人物が必要だとマサリは感じていたのである。しかし、適任者がなかなか見つからなかった。ジクには戦略に詳しい将軍も将校もいない。それに引き換えゴビ軍は百戦錬磨だった。
「そう言う訳で、マサリ様はレンシーをザトラ兵の総司令官にすることにしたのでございます」
同じ敵を憎んでいる者同士が協力して闘う。
「最初、ノラカンナの兵士達を率いるゲリラ軍の隊長はマサリ様の案に同調してくださらなかったのです。利用されて捨てられるのではないかという疑念を払拭出来なかったようでごさいますわ。しかし、レンシー様が現れたことで状況は大きく変わりました。ザトラの民達の希望の光となったのです」
レンシーは、母国の復興のために命を懸けて戦う決意をした。ジクやの荒涼とした乾燥地帯で闘おうとしている
(彼に会いたいけれど、レンシーに二度と会ってはいけないのだわ)
だって、彼には妻と子がいるんだもの! もう忘れよう。そう思えば思うほど心に彼の面影が湧き上がってくる。容赦なく胸を締め付ける。
旅の終わり、アデリアはレンシー尋ねたことがあった。こっちの肩の傷は何なの? すると彼は、どこか遠くを見るような眼差になった。
『最初にテラスの国にゴビ軍が来た時、我々は同胞を救う為に援軍を送った。テラスが仕えていた王妃や王子を城から救うつもりだった。オレもその作戦に参加したが市街地で敵兵に捕まった。その時に逃げようとして追いかけられて斬られたんだよ』
医者にも診せられないし自分で縫えないので火で焼いた。そして、ブルブル震えながら夜の山道を歩き続けたらしい。
『ひたすら、あの星座の方向を目指して歩き続けたよ。死ぬほど寒い夜、あの日見た夜空を思い出すよ』
自分が体験した痛烈な出来事を彼は淡々と語っていた。
『実際にテラスの国が侵略される前から、ゴビの不穏な動きは察知していたんだ』
ゴビは小国を次々と呑み込んで行く。
ザトラ人は戦争が始まる前から情報を収集していたという。
『犬は帰巣本能があるから人間が歩けないような険しい地形では犬に伝令をさせることもある。だが、文書を読まれると相手にバレてしまう。だから犬の腹の中に手紙を入れる。着いたら、犬は腹を切り裂かれる。それが嫌だった』
ザトラ三国の貴族は捕虜となっているが、下級将校達はオスベルの各地にまだまだ潜んでいる。それも秘密裏に招集することにした。
連合部隊。これを指揮する人物が必要だとマサリは感じていたのである。しかし、適任者がなかなか見つからなかった。ジクには戦略に詳しい将軍も将校もいない。それに引き換えゴビ軍は百戦錬磨だった。
「そう言う訳で、マサリ様はレンシーをザトラ兵の総司令官にすることにしたのでございます」
同じ敵を憎んでいる者同士が協力して闘う。
「最初、ノラカンナの兵士達を率いるゲリラ軍の隊長はマサリ様の案に同調してくださらなかったのです。利用されて捨てられるのではないかという疑念を払拭出来なかったようでごさいますわ。しかし、レンシー様が現れたことで状況は大きく変わりました。ザトラの民達の希望の光となったのです」
レンシーは、母国の復興のために命を懸けて戦う決意をした。ジクやの荒涼とした乾燥地帯で闘おうとしている
(彼に会いたいけれど、レンシーに二度と会ってはいけないのだわ)
だって、彼には妻と子がいるんだもの! もう忘れよう。そう思えば思うほど心に彼の面影が湧き上がってくる。容赦なく胸を締め付ける。
旅の終わり、アデリアはレンシー尋ねたことがあった。こっちの肩の傷は何なの? すると彼は、どこか遠くを見るような眼差になった。
『最初にテラスの国にゴビ軍が来た時、我々は同胞を救う為に援軍を送った。テラスが仕えていた王妃や王子を城から救うつもりだった。オレもその作戦に参加したが市街地で敵兵に捕まった。その時に逃げようとして追いかけられて斬られたんだよ』
医者にも診せられないし自分で縫えないので火で焼いた。そして、ブルブル震えながら夜の山道を歩き続けたらしい。
『ひたすら、あの星座の方向を目指して歩き続けたよ。死ぬほど寒い夜、あの日見た夜空を思い出すよ』
自分が体験した痛烈な出来事を彼は淡々と語っていた。
『実際にテラスの国が侵略される前から、ゴビの不穏な動きは察知していたんだ』
ゴビは小国を次々と呑み込んで行く。
ザトラ人は戦争が始まる前から情報を収集していたという。
『犬は帰巣本能があるから人間が歩けないような険しい地形では犬に伝令をさせることもある。だが、文書を読まれると相手にバレてしまう。だから犬の腹の中に手紙を入れる。着いたら、犬は腹を切り裂かれる。それが嫌だった』