見知らぬ彼に囚われて
バシッ

 リーナは勢いよく男の頬を叩いた。

「貴方を殺したって、私の記憶が戻るとは限らないでしょう!? 私がいつまでも大人しくしていると思ったら大間違いだわ!」

 怒りの彼女に、男は静かに笑いかける。

「それでこそ君だ、愛おしいリーナ……」

 態度の変わらない男に苛ついたリーナは部屋の外へ向かおうとする。
 すると男は冷たい声で、彼女に言い聞かせるようなゆっくりとした口調に変わった。

「家を出ていくつもりかい? しかしこの家から、君を出すわけにいかない。一歩たりともね。命を落としたくなかったら言う通りにするんだ。君が聞かないというのなら、私にも考えがある」

「……ふざけないで、気が変わったの! 私がどうしようと貴方に関係ないわ!」

 言いながらそのままリーナが部屋を出ようとすると、男はすかさず彼女を強く抱き寄せた。

「……そうか。そう、君は機嫌を損ねると人の言うことを全く聞かないのだったね。どうしてもこの家を出たいというのなら、君が二度とここを出られないようにしなければ」


 彼女は強い力で先ほどのベッドに引き倒される。

「……まだ力が残っていて良かったよ。ではその身体に教え込まなければならない、君がどのような立場なのか……」

 彼女は驚くが、何をされるのか分からないながらも気丈に、ベッド上の自分を見下ろす男を黙ったまま睨みつける。

「……適度な快楽は与えてあげよう、これからはこれが君の義務だからね。しかし夢中になられては困る。君は痛めつけられるのを嫌うはず。今は君の身体にこの家から出ないよう言い聞かせるためだ、優しくはしないよ」

 男はそう言うと先ほど着替えたばかりのリーナの服を乱暴にはだけ始めた。
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