【コンテスト参加作品】私が愛した人は、殺人犯でした。

エピローグ


 
 そしてその時、救急車の音とパトカーのサイレンが二台同時に響きわたった。

「文哉、救急車来たから、もう大丈夫だからね……」

 文哉は私の呼びかけに、静かに「ああ……」と頷いた。
 
「っ……警察?!」

「我々が呼んでおきました。あなたの悪事を暴くためにね」

「なっ……卑怯よ!!」

 私はその言葉に、「卑怯なのはどっちよ!……あなたの方がよっぽど卑怯じゃない!」と睨みつけた。

「っ……」

 そしてパトカーから降りてきた数人の警察官と共に、有澤ひらりは逮捕された。
 そして文哉は救急車ですぐに病院に運ばれた。

「文哉……? 文哉!?」 

「バイタル低下してます!」

「脈触れません!」

 しかし予想以上に出血が多く、すぐにでも手術が必要だった。 病院に着いた文哉は、すぐに手術室に運ばれ、手術が開始された。
 私はただ、手術が終わるのをひたすら泣きそうになりながら待っていた。



✱ ✱ ✱


「文哉……?!」

「あ……んず……?」

「文哉……良かった!」

 先生のおかげで、文哉はなんとか一命を取り留めることが出来た。
 一時はどうなるかと思ったからこそ、本当に良かったと思えた。

「杏珠……ごめんな……」
< 27 / 29 >

この作品をシェア

pagetop