マイシス××。
関係



「あ、あの!シグレって人は?」

車に乗り込んだ瞬間そう口にすれば、ミラー越しの川田さんが目を丸くしたのが見えた。


「コ、コハル様。どうなさいました?顔が凄い事になってますよ」

「だから!シグレはまだ?」

「シグレ様はお友達と帰られますが」

「え……」

淡々と返される言葉に間の抜けた声が漏れる。

ここに来ればあの"シグレ"と話せると思ったのに。


帰りのHRが終わってから鞄を手に慌てて走って、朝のこの場所に戻ってきたのに一気に気が抜けてしまう。


「コハル様、どうかなさいましたか?」

「……い、いえ」

「学校でシグレ様と何かありましたか?」

なんて川田さんの淡々とした台詞に、




──お前、アイツの子なのか?


物凄く近いシグレの顔とその後の出来事を思い出した。


「な、なッ、何もありません!」

「では、出発いたします」

今更、頬が赤くなっていく中。
エンジンの音も振動も何も感じない車が、朝と同じ様に静かに動き出すから、ゆっくりと窓の外に視線をうつした。

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