マイシス××。
「10年前、シグレ様のご両親がとてもモメた事がありまして」
なんで、
「当時は離婚されるのでは無いかという位の大喧嘩でして」
シグレって人の親の話をされているのだろうか。
「小さなシグレ様の前でもそれはもう言い争いをされてしまいまして」
小さなシグレ様って全然想像つかないし。
「まぁ。その内容が……。あなたの存在だったんですよ、コハル様」
そっか、この話の続きだっけ。
私に冷たい視線を向けるこの人が──。
私を助けてくれたんだと、一瞬でもそう思ったのが本当に馬鹿みたい。
「コハル様。シグレ様のお母様は……」
川田さんの声は抑揚の無い低いトーンのもので、感情なんて無いかの様に続けられる。
私の中で蘇る遠い記憶が、頭の中でぼんやりと浮かんできた。