マイシス××。
「あ、ありがとうございます」
覚束ない足取りで長い廊下を歩く隣に並ぶのは、私より遥かに背が高い川田さん。
彼があの時来てくれなきゃどうなっていたかと想像すると、身体がゾッとした。
「シグレ様は……、時々非常識な事をするので以後お気をつけた方がよろしいかと」
「はは、非常識って……」
自分が仕える人に対して"非常識"って言っちゃうのはまずいでしょ、なんて思うのに全然笑えなくて。
「あの、本当なんですか?」
──妾の子なんだろ?
──俺の親父のだよ
私の頭の中ではシグレが言った言葉がフリーズしていた。
「あぁ、明確ではありませんが」
なんで、川田さんは私の質問をすぐに理解したのかな。
「コハル様のお父様は……」
あぁ、そうか。
きっと、ずっとシグレの部屋の前にいたからなのかもしれない。
「シグレ様のお父様だと、……私も思います」
淡々と続けられる川田さんの言葉は、今まで暮らしてきた日常では考えられないもの。