『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました
*
週明けに正式に人事異動の公示が出て、それと同時に彼の素性が明らかになった。
『IR企画室 対策本部長 蓮水 悠真』
四月一日付で配属となるが、既に社内では超特大ニュースとばかりに話題が持ちきりだ。
浅沼部長は社長の遠縁にあたる人で、唯一社内で事情を知っていた人物。
当然私と彼との経緯も知っていて、あえて知らないふりをしていたのだとか。
相手の心情を汲み取る営業スキルに完敗だ。
彼は仕事の引継ぎに追われているが、部署の皆から少し距離を取られている。
まさか、社長の息子だとは思っていなかったからだ。
「チーフ、確認お願いします」
「ん、後で確認するから置いといて」
好奇な目が浴びせられることも想定内なのだろう。
彼は至って冷静に仕事をしている。
デスクに置かれたファイルを開くと、『今日、仕事が終わったら指輪を買いに行きませんか?』とメモが貼られていた。
自席に戻った彼に視線を向け、小さく頷く。
こんな風に社内でやり取りできるのも、あと数日。
社内では、手の届かないような人になってしまう。
*
「チーフ、聞きました?八神く……蓮水くん、結婚するみたいですよ?」
「えっ……?」
「秘書課の同期の子が言ってたんですが、移動と同時に婚約するって」
「……へぇ~」
「誰なんでしょうね~、あんなイケメン口説き落とした人」
「………」
千堂さんと休憩室でお茶を飲みながら彼の話をふられ、動揺を隠しきれない。
彼との婚約が公になったら、一体何を言われるんだろう。
女子社員に袋叩きにでもなるだろうか。
週明けに正式に人事異動の公示が出て、それと同時に彼の素性が明らかになった。
『IR企画室 対策本部長 蓮水 悠真』
四月一日付で配属となるが、既に社内では超特大ニュースとばかりに話題が持ちきりだ。
浅沼部長は社長の遠縁にあたる人で、唯一社内で事情を知っていた人物。
当然私と彼との経緯も知っていて、あえて知らないふりをしていたのだとか。
相手の心情を汲み取る営業スキルに完敗だ。
彼は仕事の引継ぎに追われているが、部署の皆から少し距離を取られている。
まさか、社長の息子だとは思っていなかったからだ。
「チーフ、確認お願いします」
「ん、後で確認するから置いといて」
好奇な目が浴びせられることも想定内なのだろう。
彼は至って冷静に仕事をしている。
デスクに置かれたファイルを開くと、『今日、仕事が終わったら指輪を買いに行きませんか?』とメモが貼られていた。
自席に戻った彼に視線を向け、小さく頷く。
こんな風に社内でやり取りできるのも、あと数日。
社内では、手の届かないような人になってしまう。
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「チーフ、聞きました?八神く……蓮水くん、結婚するみたいですよ?」
「えっ……?」
「秘書課の同期の子が言ってたんですが、移動と同時に婚約するって」
「……へぇ~」
「誰なんでしょうね~、あんなイケメン口説き落とした人」
「………」
千堂さんと休憩室でお茶を飲みながら彼の話をふられ、動揺を隠しきれない。
彼との婚約が公になったら、一体何を言われるんだろう。
女子社員に袋叩きにでもなるだろうか。