若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!

 こうして、カレンとジョンズワートは、互いに想い合う幼馴染から、公爵家の跡取りと、領地が隣接するだけの伯爵家の娘となった。
 初めのうちはジョンズワートからの誘いもあったが、カレンは全て断った。
 そうするうちに、すっかり疎遠になって。
 数年が経過する頃には、行儀見習いの女性とジョンズワートが懇意にしている、といった噂も流れるようになった。
 男爵家の次女、サラ・ラルフラウ。
 ジョンズワートの妹の侍女として、デュライト公爵家に仕える者だ。
 年齢も、ジョンズワートと同じらしい。
 その話を聞いたカレンは、涙を流しながらも、安心した。
 ああ。あのとき、彼の求婚を断ってよかった、と。
 責任なんかじゃない。彼には、本当に大事な人ができたのだ。
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