婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜


 息子の奇怪な様子に気が付いた国王陛下は眉根を寄せてレイを見た。

「レイモンド、なにが可笑しいのだ?」

「いや……申し訳ありません、父上。実はオディール嬢とは面識がありまして。普段は友人として付き合っていますので、このような改まった場所で相見えると常時との差異が可笑しくって……ぷぷっ」

 まだ笑っているわ……。

 国王陛下は呆れ返った様子で、

「そうだったのか。アングラレス王国の未来の王妃と昵懇の間柄というのは両国にとって喜ばしいことだが、場を弁えるように。お前はローラント王国の王太子なのだぞ。国の代表なのだ」

「申し訳ありません、陛下」と、レイは頭を下げるが口元は緩んだままだった。

 全然反省していないわ、この人。

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